私がスノーボードをする理由/岡田沙織

自分の滑りを高めながら、女の子のための大会「HoneyFlash」を開催するなど、様々な活動をとおして「スノーボードの楽しさ」を伝え続けている岡田沙織。スノーボードをはじめて20年になるベテランライダーである彼女は、今、どんなことを考えながらスノーボードと向き合っているのだろう。話を聞いた。


—最近はどんな活動をしていた?
岡田:ここ数年はずっと続けている、女の子のための大会「HoneyFlash」の開催をメイン活動しています。あとは、仕事の合間の時間を使って、車で数時間かけて移動してバックカントリーでパウダーをすべったり、ホームゲレンデの高鷲スノーパークや鷲ヶ岳スキー場でパークやパイプ、フリーライディングを楽しんでいました。

—スノーボードを長く続けている中で、目標や好きなライディングスタイル、生活スタイルに変化があったと思います。スノーボードを始めた最初の頃はどんな感じでしたか?
岡田:最初の頃の目標は「大会でリザルトを残すこと」「メーカーからのサポートを受けること」でした。その時は「スタイル」というよりも、がむしゃらに「うまくなること」を目指していたので、練習やトレーニングに集中できる環境を作っていました。

—その後はどう変化した?
岡田:サポートを受けるようになってからは、自分の滑りを映像や写真に残すことがシーズンの目標になりました。その日のコンディションに合わせて「滑る山」や「滑る場所」が変わり、初めての経験や新しい環境へと広がっていく中で、自分の滑りの幅もグッと広がった気がします。その中でも昔から今も変わらないライディングスタイルは「どんな時でも楽しむこと」。ここは自分のスノーボードの中で常に意識していました。

—スノーボードを長く続けていると楽しいこと、辛いことなど、様々なことがあったと思います。「こんな出来事があったから今がある」と思えるような転機になったことはありましたか?
岡田:転機は3回ありました。スノーボードで金銭的なサポートを受けてプロとして活動していきたいと目標をたてて、何も考えずにひたすら練習に明け暮れていたニュージーランドで「待っているだけでなく自分から動いていくこと」をその時出会ったカメラマンから教えてもらったんです。その時から自分からアプローチをする方法を考えるようになりました。その頃から大会でリザルトを残せるようになったと思います。その後、今のショップからショップサポートしてもらえるようになり、「ライダーとしての動き」や「どういう人物になりたいか」を常に考える環境をオーナーに作って頂きました。ケガが続いた時は「このまま続けていくべきか」ということを悩んでいたのですが、変わらずサポートしてくれるメーカーさん達に対して「滑れない自分に何ができるか」を考えた時に「ハニフラ」を企画・開催することを決めました。それまでは自分のためにしか滑ってこなかったのですが「今までの自分の経験を通してスノーボードを始める女の子達に楽しさを伝えていこう」と考えが大きく変わった時でした。

Photo/Mantaro

—ケガが続いた時など、スノーボードを辞めようと思ったことはなかった?
岡田:基本的にはないのですが、さすがにケガが立て続いた時は悩みました。親や周りに心配かけてばっかりだなーって(笑)

—「だからスノーボードはやめられない」と思えるような、スノーボードを続けていくうえでモチベーションとなっていることは?
岡田:限られた時間の中で、最高のコンディションでパウダーを当てることができた時に感じられる「嬉しくて、楽しくて、鳥肌が立つような感覚」ですね。これははやっぱり日常では得られないもの。その時に仲間もいれば最高です! 今までいろんな場所で自分が感じてきたスノーボードの楽しさ、スノーボードにハマったきっかけを経験してもらえたら……とイベントを始めて8年になりますが、そこで女の子達が頑張ってる姿を見ることができるのも私ののモチベーションのひとつになっています。

—これからのスノーボードの目標は?
岡田:目指すのは、壮大な山のノートラックパウダーに大きくターンをする自分のラインを残すこと。いつでもどんなバーンでも体がブレない綺麗なフリーライディングができる事かな? やっぱり今でもうまくなりたい気持ちは止まりません。あとは「ハニフラ」を通してスノーボードの楽しさを女の子たちに伝えることです。

—今使用しているボードは?
岡田:headsnowboardsのARCHTECT144とTHE DAY143。ARCHTECTはゲレンデ内のパークやパイプ、フリーライディングやパウダーとオールラウンドに滑りたい時に、THE DAYはバックカントリーの大きなバーンやゲレンデで滑るディープパウダーの時に。どちらも今までより少し軽量されてて操作しやすくて、且つ大きなターンをハイスピードで突っ込んでもブレがなく安心して頼れるボード達です。春にサイドカーブが非対称のEVERYTHINGも乗っていましたが、他の2本よりソフトフレックスでこれまたジブやグラトリなど遊びながら滑れてすごく楽しい板でした!

—どんな人におすすめ?
岡田ARCHTECTTHE DAYもハイスピードでしっかりと滑りたい人、ゲレンデ内の地形やバンクを使ってフリーライドを楽しみたい人におすすめです。その中でもパークやパイプ、人工物でも楽しみたい人はARCHTECTがとくにおすすめかな? どちらも地形に合わせやすいフレックス。EVERYTHINGは吸い付く様なヒールターンからのグラトリや地形で小技やジブにトライしながら軽く滑りたい女の子にとてもいいですね!

—バインディング&ブーツは?
岡田:バインディングはSP-bindingsのBrotherhoodを使用しています。足から板への力が前後に素早く伝わって、サイドの動きは柔らかいので、今の自分の目指す滑らかな動きになくてはならないバインディングです。ブーツはheadsnowboardsのEIGHT Boa。今までのブーツの中で一番しっかりとしたフレックスで気に入っています。今、ハイスピードでしっかりターンを刻んでいく滑りを目指しているので、このブーツに安心感持って挑めます。シーズンをとおして自分の足に馴染んでいく感覚があり、育てて、育てられてる感があります(笑)

Photo/Mantaro

【Profile】
岡田沙織(おかだ・さおり)/ 1977年1月31日生まれ、兵庫県出身。
■身長/153cm■スタンス/46cm ■アングル/ 前15度、後ろ-9度(パーク)、 前18度、後ろ0度(BC)■ホームマウンテン/高鷲スノーパーク、鷲ヶ岳スキー場

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