冬に向けてオフに準備すべきことは?/臼井裕二

8期連続でJSBAのデモンストレーターとして活躍している臼井裕二。そんな彼は充実したオフシーズンを過ごしながら、冬に向けての準備を着々と進めている。どのようなことを考えながらオフシーズンのトレーニングを行なっているのか。話を聞いた。

—19-20シーズンはどんなシーズンでしたか?

臼井:小雪のシーズンになってしまいましたが、その分1日1日を大切に滑って密度の濃いシーズンになりました。シーズン中はセッティングを変えたり、アルペンに挑戦したりと新しいことにもチャレンジしました。

—オフシーズンはどんなふうに過ごしていますか?

臼井:平日は山の仕事で、休日はペンション業務をしながら会津の山の中で生活してます。畑を始めました。どんどん規模が大きくなり今では約20種類の野菜を育ててます。あとはクラフトビール作りですね。会津のbreweryで修行してます。どちらも美味しいですよ。

—いいオフシーズンの過ごし方ですね! そんな生活の中で日課として毎日しているトレーニングはありますか?

臼井:夏のスキー場の斜面を見ながらイメージを作り、スケートを使ってトレーニングしてます。

—トレーニング時に意識していることは?

臼井:自分の好きなリズムに頼らず、コーンを立てたりして自分の不得意なリズムに対応できるようにすること。意識というか……無意識に動ける様にトレーニングしてます。そこがポイントですね。

—冬のシーズンに向けて「こういうことを考えて、こういう風に準備をしておくことが大切だ」と思うことや、ご自身が行なっていることなどはありますか?

臼井:隣がスキー場なので夏のゲレンデを眺めながら自分の滑りのメージを膨らませてます。色んな準備の仕方はあると思いますが、私が心がけているのは、より正確なイメージを作ること。斜面に合わせた実際の動きを想像して、そこから逆算して自分に足りない動きを補うにしています。オフトレを結果に結びつけるにはとても大事な作業ですね。

—「上手くなりたいけれどなかなかうまくなれない」「自分の思い通りに滑ることができない」「来シーズンこそはもっとうまく滑れるようになりたい」そんな悩みや想いをもつ人に、何かアドバイスできることはありますか?  滑りのレベルに関係なく、共通してアドバイスできる滑りに対する考え方やトレーニング方法などあれば教えてください。

臼井:「自分は何が得意で、何が不得意なのか」を割り出すといいと思います。例えば、斜度が15度まではうまく滑れるけど、20度だとどうでしょうか? 25度で新雪だとどうでしょうか。傾斜面や日陰といった条件をそこに足すとどうでしょう? そうすると、条件に合ったボードコントロールの答えを探すようになってきます。失敗した時に全部が悪いのではなく、どれかひとつの条件をクリアできていない場合が多いです。それらを意識したトレーニングをするのがいいと思います。

—なるほど! 話は変わりますが、コロナの影響で、シーズン終了後の過ごし方や考え方などに変化があったと思います。ご自身の中で「結構変わったな」と感じることがあれば教えてください。

臼井:以前は変に理想の高い人間でした(笑)。コロナの影響で「とりあえず、ちょっとずつやってみよう」という思考に変わってきました。先を見越し過ぎるところがあったのですが、この先どうなるかは分からないですもんね。最近は「芸は身を助ける」「手に職」といった言葉がポッと浮かんできます。「実力」が欲しい、という心理なのでしょう。

—20-21シーズンはどんな動きをしていきたいですか?

臼井:12月初旬から活動を始めたいと思っています。去年から始めた北海道ツアーなども続けられればと思っています。今一度「選手」という立場を考え直しながら過ごしたいですね。スクール業務もよりたくさんのお客様に満足して頂ける様に頑張ります。

—今使用しているバインディングは?

臼井:SPのSLAB.ONEです。とにかく反応が早い所が気に入っています。7割以上強く締めた時が無いくらいです。あとは、ヒールエッジの掛かり方が好きです。くるぶしより下の部分で雪を押し込めるので、エッジの掛かり始めから足場ができます。簡単に言うとヒールサイドでバランスが取りやすいって事ですね。

—どんな人にオススメしたいですか?

臼井:反応が早いモデルを探している方、足にストレスをかけたくない方にオススメです。上からだけでなく、ブーツを前後(つま先、カカト方向)からも抑えてくれるので締め付けが分散します。スピードを出して滑りたい方や、大きめのパークアイテムにトライしたい方にもオススメです。


【Profile】
臼井裕二(うすい・ゆうじ)/1979年12月10日生まれ、 神奈川県出身。
■身長/175cm ■スタンス/56cm
■アングル/ 前24度、後ろ0度
■ホームマウンテン/会津高原だいくらスキー場
■好きなライディングスタイル/カービング、パウダー

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